岡口マクロを使っている方へ——スグラク版とVA公用文を比較する

コラム

裁判所提出書類をWordで作るとき、岡口マクロを使ってきた方は多いと思います。書式の設定や見出しの番号付けから、当事者目録の入力、利息の計算まで、法律実務に合わせて作られたマクロとして、長く使われてきました。

その岡口マクロのWord版の配布ページで、2026年8月、「スグラク」に搭載された岡口マクロへの移行が案内されました。これを機に、移行を考えている方も、岡口マクロ以外の移行先を探している方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、スグラク版の岡口マクロと、VBAアセットで公開しているWordのアドイン「VA公用文」について、動作環境、書式、操作などを比較します。

岡口マクロのいま

岡口マクロのWord版は、戸木亮輔弁護士(Togi Lab)が配布しています。配布ページには、2026年8月5日付で、スグラクに搭載されたこと、マクロよりも動作が安定するスグラクを使ってほしいことが書かれています。

  • 基本版の配布ファイルは、2020年5月31日付の版です。
  • 代理人情報入力版は、インストールや動作の問題のため、2024年3月から配布が休止されています。
  • Mac版は、書式変更・連番ランク設定・入力に機能を限っています。一部のキーは動作しない状態です。

スグラク版の岡口マクロは、FRAIM株式会社が提供するプラグインで、無償で使えます。

2つの移行先を比べる

スグラク版の岡口マクロとVA公用文の動作環境などは、次のとおりです。

スグラク版の岡口マクロVA公用文
料金無償無料
WindowsWindows 11Windows 11 で動作を確認(自動インストールが可能)
WordMicrosoft 365、Word 2024、Word 2021Microsoft 365(64ビット版)で動作を確認
Mac対応していない手動インストールで対応可能
アカウントの登録必要(メールアドレス)不要
インターネット接続ログインのときに必要不要
マクロ不要(Wordアドイン)VBAのマクロで動く(マクロが禁じられた環境では使えない)

VA公用文の動作を確かめているのは、Windows 11 と Microsoft 365 のWord(64ビット版)の組み合わせだけです。Windows 10 や、Word 2019 以前の版で動くかどうかは、確かめていません。Mac版のWordでは、VA公用文を手動でインストールして動作するとの報告をいただいています。

スグラク版は、岡口マクロの配布元が案内している移行先です。当事者・代理人・物件の情報の入力、利息・日付の計算が使えます。VA公用文には、これらの機能はありません。

VA公用文と岡口マクロの違い

VA公用文で、文書の種類「裁判所提出書類」を選んだときの書式と、岡口マクロのWord版の書式は、次のように違います。

岡口マクロ(Word版)VA公用文(裁判所提出書類)
余白(上・下・左・右)35・25・30・20mm35・27・30・17.5mm(右は、字送りの端数を補正するため、わずかに変わる)
字数・行数37字×26行37字×26行
見出しの符号第1→1→(1)→ア→(ア)→a→(a)→①第1→1→(1)→ア→(ア)→a→(a)→i→(i)
「①」の使い方見出しの8階層目段落番号(番号付きの箇条書き)
見出しのスタイル専用のスタイル(「ランク1」〜「ランク8」)Word標準のスタイル(「見出し 1」〜「見出し 9」)
インデント文字単位ポイント単位(1文字の幅から計算)

岡口マクロで作った文書をVA公用文で変換すると、体裁は変わります。 余白や見出しの符号、スタイルの仕組みが違うためで、岡口マクロと同じ体裁にすることはできません。

操作の対応

岡口マクロの主な操作と、VA公用文で同じ目的を果たす操作は、次のとおりです。ボタンは、Wordのリボンの「VA」タブにあります。

岡口マクロVA公用文
書式変更(Alt+P)VA公用文の[セットアップ]で、文書の種類「裁判所提出書類」を選ぶ
連番ランク設定・入力(Alt+R、Alt+1〜8)見出しの行頭に「#」を付けて書き(「#」の数が階層)、VA公用文の[アウトライン]で見出しにする。Ctrl+Alt+1〜3やスタイル・アウトラインの設定(Word標準)も利用可能。
連番ランク入力の解除(同じキーをもう一度押す)Ctrl+Shift+N(「標準」のスタイルに戻す。Word標準)
当事者・代理人・物件の情報入力、利息・日付計算相当する機能はありません

岡口マクロのAlt+数字は、見出しのスタイル(「ランク1」など)を、キー1つで段落に設定する操作です。VA公用文は、Word標準の見出しのスタイル(「見出し 1」〜「見出し 9」)に「第1」「1」「(1)」などの番号を結び付けるので、Wordの標準の操作で、同じように見出しを付けられます。

違いは、インデントです。岡口マクロはキーを押したときにインデントも設定しますが、VA公用文は、[アウトライン]を押したときに、文書全体のインデントをまとめて設定します。1段落ずつ整えるか、書き終えてから一括で整えるか、という作業の順序の違いです。

岡口マクロにない機能

VA公用文には、岡口マクロのWord版にない、次のような機能があります。

  • ChatGPTやClaudeなどのAIにMarkdown(マークダウン)で書かせた下書きを、ボタン1つで、見出しの番号とインデントの付いた書面に整える
  • 裁判所提出書類のほか、内容証明郵便、公用文、契約書(2種類)、ビジネス文書、技術文書の書式を選べる

AIの下書きから書式を整える手順は、次の記事で紹介しています。

ダウンロード

VA公用文は、無料でダウンロードできます。Windowsをご利用の場合は、VA公用文を収めた統合版をダウンロードしてください(インストーラーで自動でインストールできます)。

Macをご利用の場合は、VA公用文の記事から最新版のテンプレートをダウンロードし、手動でインストールしてください。

コメント

  1. 管理人 より:

    「VA公用文シリーズ」との比較を、「VA公用文」との比較に改めました。

タイトルとURLをコピーしました